一、
月はおぼろに東山
霞む夜毎のかがり火に
夢もいざよう紅桜
しのぶ思いを振袖にく
祇園恋しや だらりの帯よ
二、
夏は河原の夕涼み
白い襟あし ぼんぼりに
かくす涙の口紅も
燃えて身を焼く大文字(だいもんじ)く
祇園恋しや だらりの帯よ
三、
鴨の河原の水やせて
咽(むせ)ぶ瀬音に鐘の声
枯れた柳に秋風が
泣くよ 今宵も夜もすがらく
祇園恋しや だらりの帯よ
四、
雪はしとしとまる窓に
つもる逢(お)うせの差し向かい
灯影(ほかげ)つめたく 小夜(さよ)ふけて
もやい枕に川千鳥
祇園恋しや だらりの帯よ
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